QCMセンサ−めっき液を用いて Au電極 から任意の金属の電極に

標準のAu電極の上にめっきで任意の材質の電極にします。 ユーザ様サイドで行なうことで、 Cu や Agなど酸化する材質でも使用する直前に電極を生成出来るため電極劣化の心配なく実験が行なえます。

Au 電極表面にメッキして別の金属電極として使用される場合は "メッキ厚み" を極力薄く抑える必要があります。メッキは温度やアノード・カソード電極との距離、電圧、めっき時間、めっき液の状態などで変わってきますので事前に条件出しを行なわれてから実施することをお勧めします。

Au電極に Cuメッキを行なった例

 

小ロットで小売りで市販されているめっき液を用いています。種類は Cu,Ni, Au,Sn,Zn,Pt,Rh,Ag などがあります。
※ こちらでの実験の数値はあくまで参考値です。実際の加工の際には諸条件を確認されて行なって下さい。


(脱脂処理)
鉛板を電極としたアノード(陽極)、金属クリップに端子をはさんだセンサをカソード(陰極)として脱脂液に浸し+2Vの電圧をかけて60秒間保持します。アノード・カソードの距離は約1センチとしています。
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脱脂後、センサは水洗いして脱脂液を洗い流します


脱脂のときと同じく、鉛板をアノード、金属クリップではさんだセンサをカソードとして電圧を印加しメッキします。周波数の低い5MHz,9MHzの場合では『電圧:0.5Vで30秒程度』までくらいが一つの目安です。半分の時間になったら途中でセンサの表裏を返して両面にメッキされるようにします。
周波数が高い場合は極力薄くメッキするため『0.2Vで30秒程度』が一つの目安です。この場合も半分の時間になったら途中でセンサの表裏を返して両面にメッキされるようにします。上記の条件はあくまで目安で、めっき液の温度やめっき液の濃度などにも依存しますので良い条件を見つけて下さい。


銅メッキされたセンサメッキ処理後、センサを水洗いします
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IPAなどエタノール系で洗浄
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ドライヤなどで乾燥させて出来上がりです。

 

メッキされた膜厚により周波数が変わってきますので作業の前後で周波数を記録しておくと次回以降の作業に役立ちます。

 

 

めっき厚みと周波数の関係

 

(めっき膜厚と周波数の関係)

 

■9MHzの場合の感度は、φ5.0mm電極の場合で 1Hzあたりおよそ1ngなので

 

・ 電極面積 = 2.5x2.5xπ×10*E-6=19.625x10*E-6(u)
・ Cu密度 = 8.96g(cm3) = 8.96x10*E6 (g・m3) ("m3"は立方メートル )

 

■周波数:1KHz変化 ( 付着膜質量:1μg ) あたりの Cu の体積 V は、

 

  1x10*E-6 = 8.96x 10*E6 x V
     ∴ V = 0.1116 x 10*E-12 (m3)

 

 

■電極面積 = 19.625x 10*E-6 から、
 『周波数:1kHz変化あたりのメッキ膜厚 t』 は、

 

   t = 0.1116 x 10E-12 ÷(19.625 x 10*E-6 )
    = 0.005686..... x 10E-6
   ≒ 5.686 x 10*E-9 (m)

 

  ∴ t ≒56.86Å ( 1Å =1x 10E-10 m )

 

これが計算上の 周波数 1KHz ( =1000Hz) あたりのメッキ膜厚になります。電極の表裏合わせての分なので片側で見た場合で計算上はおよそ半分になります(表裏均一にメッキされたと仮定して)。

 

※ QCMの測定では計算上で質量を出しますが、あくまで計算値であり温度変化やセンサ自体の感度差異(付着状態などによる差異など)の誤差要因を含んでいます。実験結果の考察の際にはその点もご配慮下さい。