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★ 周波数基準についてのおはなし


測定器などのリファレンスで用いられている『周波数基準』 についての一般的なお話しです。

身近なところでは、

・計測器の周波数基準(内部リファレンス、外部リファレンス)
 -周波数カウンタの周波数基準
 -スペアナの周波数基準
 -信号発生器の周波数基準
 -ネットアナなどの周波数基準
  等々

・アプリケーション内での基準
 -シンセサイザのリファレンス
 -通信機器(有線・無線)の周波数基準
 -放送機器(放送電波、映像信号処理)
 -タイマカウントダウンのタイマ基準
 -時刻のリファレンス(カウントアップの基準)
  等々

・大きなシステムでの基準
 -携帯電話等の基地局、周波数同期・タミング位相同期
 -電力などの通信システム同期網の基準
 -GPS/GNSS衛星などに搭載されている周波数基準
 -国家標準の周波数原器、時刻標準
  等々

例を挙げていくとキリがありませんが、それぞれ目的に応じて
それに見合った『周波数基準』を使用しています。

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★周波数基準の種類

①セシウム周波数基準
 (国際的に取り決められた周波数基準)

②水素メーザ―周波数基準
 (セシウム周波数基準よりも短期安定度に優れるが国際基準では無い)

③GPS同期周波数基準/PTP同期周波数基準
 (セシウム周波数基準に準じた長期安定度。短期安定度は劣る)

④ルビジウム周波数基準
 (長期安定度 5E-10/年とGPS周波数基準より劣るが、短期安定度はGPSよりも良い)

⑤OCXO周波数基準
 (単体のOCXOの周波数基準。短期安定度には優れるが長期安定度は E-8~E-7レベル)

⑥TCXO周波数基準(温度補償水晶発振器)
 比較的安価な周波数カウンタの周波数基準で、1E-6レベル。

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実際の企業で使われているものは③④⑤が多いかと思います。
①~⑥までそれぞれの特徴はだいたい以下の様な内容です。


①セシウム周波数基準

  国際標準で周波数の定義はセシウム133原子の共鳴周波数の9,192,631,770分の1を1Hz と定められています。
 日本の周波数基準(NICT=情報通信研究機構、AIST=産業技術総合研究所)でも使用されています。
 一般企業では、計測器較正の最上位の計測器メーカ、及び周波数や通信関連の機器メーカーでは周波数基準として
 運用されています。装置自体高額(数百万円の後半)でかつセシウムチューブの寿命があるため運用コストも高くつくため
 実際に使用している企業は限られています。

 起動後はロックするまでは30分程度ですが、較正を行う際などには24時間以上連続通電後に行います。
 (セシウム発振器の較正が出来るのはE-12~13の測定確度を保証出来るNICT=情報通信研究機構など限られた機関のみです)

 セシウムチューブからの信号で内蔵のOCXOを制御しているため、外部からファームウェアなどで周波数調整(微調整)を
 行えるようになっているものが一般的です。
 GPS/GNSS衛星に搭載されているものは、重力の影響で時間速度が変わるため(相対性理論の内容)、投入する
 軌道高度(多くは静止軌道上)に応じたオフセットがなされて運用されています。

 キャッチオール規制対象品なので国外持ち出しの際には日本国政府の許可が必要となります。


②水素メーザ―周波数基準

 セシウム周波数基準と同レベルの長期安定度で、かつ周波数短期安定度が非常に優れた周波数基準です。
 ①の倍以上の非常に高額なもので、ごく限られた研究機関でのみ使用されています。
 パッシブタイプとアクティブタイプがあり、より精度の良いアクティブタイプはパッシブタイプよりもさらに高額になります。
 
 起動後に半日から1日、安定するまでに時間を要します。
 セシウム発振器と同レベルのため較正が出来るのはやはりNICT=情報通信研究機構など限られた機関のみです

 キャッチオール規制対象品なので国外持ち出しの際には日本国政府の許可が必要となります。

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ここまでは数百万~数千万円のものなのであまりお目にかかることはありません。
ここから下はよくある周波数基準です。

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③GPS周波数基準(及び PTP周波数基準)

 GPSアンテナでGPS/GNSS衛星の信号を受信して、GPSからの1PPS信号と装置内部の内部の発振器
 (ルビジウムまたはOCXO)を同期させることにより、長期安定度をGPS/GNSS衛星に搭載された原子周波数基準
 (セシウム及びルビジウム)と同等にするもので、長期安定度には優れています。
 ただしアンテナの設置が必要(見晴らしの良い環境へ)であり、また電波状況などにより周波数がゆらぐ
 場合があります(土砂降りの雨では周波数が揺らぐことも)。またアンテナ設置環境が良くないと受信エラーや
 マルチパスの影響を受けます。また内部にPLL回路を用いるため、同期の時定数にもよりますが短期的な安定度は劣ります。

 長期安定度の調整が必要無いこと、一度設置してしまえば故障の無い限り原則メンテナンスフリーなので
 企業などでの周波数基準として重宝されています。

 万一のアンテナ故障の際には搭載する発振器(ルビジウム、OCXO)の自走になります。
 その意味で高安定な発振器搭載が望ましいですが、それ以外にも発振器の安定度が良いとPLLループの時定数を
 長く取ることが出来るため、通常運用時の短期安定度の向上が期待出来ます。

 起動後は、まずGPS衛星を補足するまでの時間 (最大で12.5分)と、搭載の発振器の起動時間が必要です。
 従ってとりあえずロックするまでには通常10~15分程度ですが、安定運用までは2、3日~2週間くらい見た方がベターです。
 アンテナ設備を必要とするためNICT=情報通信研究機構などへの持ち込み較正は出来ませんが、昨今では
 遠隔較正という手段があり NICT=情報通信研究機構、及び産業技術総合研究所でサービスが提供されています。
 初期費用(専用の機器の導入・設置)及び運用費用(較正費用)はかかりますが較正証明書の発行を受けることが出来ます。

 搭載の発振器が特殊なものでない限りキャッチオール輸出規制の対象にはなりません。

 IEEE1588のPTP同期の場合もグランドマスターはGPS周波数基準であり、スレーブとはグランドマスターからの
 1PPSに同期する形で周波数精度を得るため長期的には同程度の安定度になります。短期・中期的にはネットワーク環境
 (トラフィック量やノード機器)の影響を大きく受けます。ただしGPSアンテナ設置不要のため設置工事のコストは有利で、
 かつ地下などGPSアンテナ設置不可能な個所へも設置出来るため、今後5G世代でさらに数が必要になるとされている
 携帯基地局への展開が期待されています。ネットワーク環境の影響を大きく受けるため、オープンなネットワークでの運用
 は難しく、クローズド(プライベート)のネットワーク環境で運用されます。


④ルビジウム周波数基準

 セシウム周波数基準までの精度が必要無い場合には、アンテナの設置は不要で電源を入れるだけなので手軽に運用
 出来るのため、こちらもよく使用されている周波数基準です。一般的な仕様では 5E-10/年の長期安定度で、価格も
 数十万円程度と、セシウムに 比べるとかなり安価です。長期安定度はセシウムよりも劣るので、E-10レベルを確保する
 場合には定期的な較正が必要になります。 NICT=情報通信研究機構では持ち込み較正は行ってくれますが、周波数確度の
 測定のみで周波数調整サービスは無いため、調整が必要な場合は、持ち込み前に自身で調整を行い、その後 NICTに
 持ち込み較正する必要があります(較正証明書を受ける場合)。
 起動後にロックするまでは10~15分くらいですが、より安定するまでには2、3時間待ってから運用する方がベターです。

 輸出規制に関しては、衛星搭載用に設計されたものの場合は輸出該非判定で 『該当』 になります。


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ここまでの周波数基準は、事業所や各施設などでのおおもとの周波数基準として用いられて分配器を通して、
多数の測定器にリファレンス周波数を供給するために運用されています。

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⑤ OCXO周波数基準 (恒温槽付水晶発振器)

 周波数カウンタの内蔵リファレンスなどでOCXOは良く用いられています。一般に測定器は屋内で温度的に安定した
 環境に置かれているので、OCXOであれば温度による周波数変化が極めて小さく抑えられます。
 また短期安定度は②の水素メーザに次いて良い値になります(一部のOCXOでは水素メーザと同等レベルのものも)。
 基準レベルのOCXOでは起動まで5~15分程度かかります。 さらに1~2週間たつとより安定します。
 電源を切ってしまうとまた安定するまで時間を要しますので、なるべく一年中電源を切らないでおく方がベターです。
 長期安定度は①~④には劣り、高精度な STP3091LF でも仕様値は 『2E-8/初年度、1E-7/10年間』 以内です。
 用途は多岐にわたり、アプリケーション内でのリファレンスとして用いられる場合と、バックアップ用途で用いられる
 場合があります。以前は形状の大きなものばかりでしたが、昨今ではIC技術の活用により小型SMDのものもリリース
 されています。測定器のリファレンスなどで運用する場合には、より高精度な大きな形状のものの方が特性は有利です。

 ほとんどのものは輸出規制には該当しませんが、一部のものはSSB位相雑音の項目で該当になる場合があります。

(宣伝)
■ STP3091LF / STP3098LF , 及び STP3515LFははんだ付け不要で使用出来る評価用ボードをご用意しています。
  (電源コネクタ:バナナジャック Vdd, Gnd, 出力コネクタ:SMA, 周波数調整:多回転ポテンショメータ, 基板への挿入はソケットピン=はんだ付け無し)
  

測定器メーカーのハイエンドの内蔵タイムベースよりも若干ハイスペックで価格はかなりリーズナブルで、
かつ位相ノイズ特性にも優れています。多少電子工作が出来れば、周波数基準として運用頂けます。

⑥ TCXO周波数基準

 安価な周波数カウンタの内蔵リファレンスなどでTCXO周波数基準は良く用いられています。±5ppm などの周波数精度の
 基準の場合は一般にTCXOが用いられています。温度補償されているので、一般のクロック発振器に比べれば温度安定度
 は優れていますが、OCXOに比較すると1~2桁劣ります。
 起動後はすぐに目的の周波数精度になりますが、しばらく置いて測定器内の熱環境が落ち着いた方がより安定が良くなります。
 長期安定度は①~⑤よりも劣り、一般には1E-6/年程度です。

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他に周波数基準は研究機関などで開発された光格子を用いたものや、より周波数確度の高いセシウム周波数基準、
またサファイヤ素子を用いたものなど特殊なものもありますが、商用レベルで流通しているところでは上記になります。
ご参考になりましたら幸いです。


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